背景
GISTは、消化管において最も一般的な間葉系腫瘍ですが、その正確な発生頻度は不明です。GISTの約90%では、c-kit遺伝子変異が見られます。手術の対象となるGISTは人口10万人当たり1~2人、再発あるいは切除不能のGISTの頻度は1000~1500人/年と推計されています。
イマチニブ (グリベック®) はGISTに対して最初に有効性が示された分子標的薬剤で、再発あるいは切除不能のGISTの初回化学療法の標準治療です。イマチニブは効果の高い薬剤ではありますが、最終的にはGISTはイマチニブ耐性となり、腫瘍増悪が見られるようになります。このようなイマチニブ耐性GISTに対しては、二次治療としてスニチニブ (スーテント®) が使用されます。また、スニチニブにも耐性となった場合、レゴラフェニブ (スチバーガ®) が使用されます。
イマチニブ耐性の原因については、さまざまな研究が行われていますが、およそ70%を占めるのが、c-kit遺伝子に新たに変異が加わる「二次変異」です。二次変異にもさまざまな種類が知られていますが、そのうちのいくつかの変異ではスニチニブの効果が乏しいことが知られています。一方、さまざまな研究の結果から、このようなスニチニブの効果が乏しい二次変異に対して、レゴラフェニブの効果が期待されています。しかし、現状ではイマチニブ耐性になった場合に、レゴラフェニブとスニチニブのいずれを使用するほうが良いかはわかっていません。
今回の治験は、イマチニブ耐性GISTに、スニチニブではなく、レゴラフェニブを使用してその効果と安全性を調べ、探索的に二次変異を検討し、その効果との関連を調べることが目的です。レゴラフェニブは、イマチニブおよびスニチニブ使用後であれば、保険適用内で使用可能です。
GISTは対象となる患者が少ないこともあり、広く全国から治験参加者を募ることが重要です。これらの結果は、GIST患者様の治療方針の決定に際して世界的に貴重なデータとなり、今後のGIST診療の向上に役立つことが期待されます。

目的
イマチニブの効果がなくなったGISTの方では、スニチニブが使用されますが、最近の研究の結果では、イマチニブの効果がないGISTの方では同様にスニチニブにも効果が見られない方が含まれることがわかってきています。このような方にレゴラフェニブが有効かどうかを検討する治験です。腫瘍組織と血液で、バイオマーカー (薬の効果を予測できるような目印) の検討も行います。
対象
イマチニブ不応・不耐な根治切除不能・再発消化管間質腫瘍(GIST)患者
1. この同意説明文書の内容を理解し、自らの意思で署名ができる方
2. 20歳以上の方
3. 手術による切除治療が適応でないGISTと診断された方
4. イマチニブによる治療を受け、効果がみられなくなった、または副作用により治療が継続できなくなった方
5. 過去にスニチニブまたはレゴラフェニブによる治療を受けたことがない方
6. 歩行可能で軽作業や座っての作業を行うことのできる方
7. 薬が飲める方等。詳細は別紙「RESET概要」を参照ください。
以上の例示以外にも、治験の担当医師が必要な事項をすべて確認し、あなたが本治験に参加していただけるかどうかについて最終的に判断いたします。
治験の期間と参加人数
この治験は、日本の約40名の患者さんに参加いただく予定です。
この治験の予定期間は、2015年1月~最後の患者さんが参加して1年経過した時点までです。
治験薬
レゴラフェニブは1日1回、40mg錠を4錠(160mg)服薬します。21日間連日服薬し、その後7日間休薬します。
治験薬は無償提供されますが、それ以外の薬剤、検査等は通常通り保険診療で行われます。
遺伝子検査
遺伝子検査に同意され、検体が提出可能な場合に行います。
なお、遺伝子検査に費用はかかりません。
実施施設と連絡先
実施医療機関 | 所在地 | 診療科 | 職名 | 治験責任医師 |
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北海道大学病院 | 〒060-8648 北海道札幌市北区北14条西5丁目 | 腫瘍センター | 診療教授 | 小松嘉人 |
国立がん研究センター東病院 | 〒277-8577 千葉県柏市柏の葉6-5-1 | 乳腺・腫瘍内科 | 医員 | 内藤陽一 |
国立がん研究センター中央病院 | 〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1 | 消化管内科 | 科長 | 朴 成和 |
大阪大学医学部附属病院 | 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-15 | 消化器外科 | 助教 | 高橋 剛 |
兵庫県立がんセンター | 〒673-8558 兵庫県明石市北王子町13-70 | 腫瘍内科 | 医長 | 松本光史 |
問い合わせ先
問い合わせ先 reset_core@east.ncc.go.jp
適格規準、治療変更規準など、臨床的判断を要するもの: 治験調整医師
登録手順、症例報告用紙記入、有害事象報告など: 国立がん研究センター 研究支援センター
国立がん研究センター 研究支援センター
連絡先:〒277-8577 千葉県柏市柏の葉6-5-1
TEL : 04-7133-1111(内5200)
FAX : 04-7134-6860